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腕の一本化

「線」を作る時に大事なことが、我と彼との「腕の一本化」である。
逆技や捕技は抜技の変化であり、抜いてからの変化ではない。
抜いてしまっては、技が途切れてしまい逆技・捕技に上手く連携できないからだ。
つまり、抜いてから技に入るのではなく、抜く過程の途中から技に連携させなくてはいけない。柔法とは「関節の連結による力の伝導」である。我の掛け手と相手の腕を一本化させることで、相手を上手く誘導していくということである。別々である物体を一本化により擬似関節を作って、解剖学的にロックさせることで相手に力が伝わるのである。
「掛け手」の場合は、自分の掌を相手の手の甲や手首に密着させ、自分の肘から相手の肘を一本の棒にするようなイメージで線を作る。
「捌き手」の場合は、抜く途中から枝に蔓が巻き付くように相手の腕に巻きつけていくイメージで捌くと、螺旋の動きで手が外れにくくなり相手に力が伝わりやすくなる。

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「線」と「点」と「面」

投げや倒しを行う際にも、五要素を意識しなければいけない。

その中に、「技のつくり」の部分で必要なことがある。
『柔法の角度』である。これは「線」のことで、線をつくることが技のつくりの大部分を占めている。この「線」をつくったら、続いて「点」で攻めるのだ。線の次は『経絡の位置』である。
これが、効かせる技の掛け方である。この時に「点」ではなく「面」で攻める時は、痛みが少なくフワリと投げる技に用いたりする。手首がねばい人に効かせるのが難しい時などは、掌を圧着させての「面」で攻めることが有効だったりする。
しかし、痛みが少ない分、しっかりと理法を用いて補わないと掛かりが悪くなるので、理法を研究する必要がある。

技のつくりだけでなく、固めにおいても「面」と「点」の違いは顕著に表れる。
例えば送固の場合、掌全体もしくは拇指丘に意識をもっていくと効きが弱く固めにならない。十字に重ねた拇指に意識を集めると甲谷を攻めることができ、ピッと痛みが走り
しっかりと固められるのだ。
「固め」は動けなくなるから、固まるから「固め」なのであって、制圧できないといけない。「面」では力の集中がなく分散されるため、圧力が伝わりにくい。「面」と「点」の違いを充分に理解し、用いらなければいけない。

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「線」について

逆技や捕技は、手首や肘などの関節を解剖学的・心理学的にロックさせる必要がある。
心理学的ロックとは、合気道の開祖、植芝盛平先生も「当身七割、投げ三割」と言われていて、当身等により精神的に虚実を作ることが重要な方法である。これは、「柔能く剛を制す、剛能く柔を断つ。」の言葉のとおり、剛柔一体で行う有用性を理解し、五要素を以って当身をしっかり行えば良い。
解剖学的ロックとは、主に腕の内旋と外旋、手首の掌屈と背屈、肘の曲げと伸ばしの組み合わせにより上肢関節をロックさせることである。上肢関節をロックさせることができたら、相手の丹田を掴むことが出来るはずだ。
そうすれば、投げるも倒すも自由自在にできるのではないかと思う。
大きな分類として、「正転(送小手の線)」「逆転(逆小手の線)」「巻きの線(S字)」「捕りの線(コの字)」「閂の線」の5つに分けられると考える。
「正転」「逆転」に肘の伸ばしを加えれば「天秤系」に、「巻きの線」と「閂の線」の組み合わせで「木葉の線」になる。

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当身の五要素

『当身の五要素』とは、各種の当身を効果的に行うための五つの必須条件である。その内のどれか一つでも欠けると効果は期待できない。

一、急所の位置・・・当身は、正確に急所に当てないと効果は薄くなる。動く相手の急所へ正確に当てる練習が必要。
少林寺拳法では男子138穴、女子137穴を活用する。

二、当身の間合・・・「一動作で相手に有効な当身を加えることのできる距離」「自分の突きや蹴りが相手の急所に十分に届く距離」のことである。適切な間合いから当身を開始することが重要。

三、当身の角度・・・急所にはそれぞれ、当てられたときの最も効果を発揮させる角度がある。しかし、それを外すと効果は薄くなる。各急所の最も効き目のある角度に当てなければいけない。

四、当身の速度・・・速度が速いほど、当身の力は大きくなる。従って、狙った急所までの最短距離を最小の時間で当てられるように、突き蹴りを繰り出す練習が必要。また、鋭い引きの冴えも大切である。(昔の本山では「当身の六要素」と言い、「当身の冴え(引き)」を別項目であげて強調していた。)

五、当身の虚実・・・「実」とは力の充実、「虚」とは力の欠如・隙のことである。「虚」には「体勢」「体質」「精神」の3つがあるが、これらが充実している時は、効果は期待できないので、いずれかの一つでも欠けている時、または虚を作ってから当てる。

上記の「当身の五要素」が級拳士の頃に教わったものであるが、実はこれは「攻者としての当身の五要素」なのである。「守者としての当身の五要素」や「柔法の五要素」も発展させて考えなければいけない。
開祖は「『当身の五要素』というものは、人生の極意だ。」と言われた。
少林寺拳法の技法は、人生においても役に立つ。対話(人間関係)の五要素にも発展させると良い。

【守者としての当身の五要素】

一、急所の位置・・・空いている急所・当てやすい急所へ、正確に当てること。

二、当身の間合・・・体捌き・足捌きを使い、適した間合に占位しておいて反撃する。

三、当身の角度・・・急所に応じた、有効な角度で当てること。

四、当身の速度・・・受けたら即反撃を行い、当身の速度は速く、引きを鋭くする。

五、当身の虚実・・・攻撃の際の「虚」や、受け等で作った「虚」へ当身を行う。

【柔法の五要素】

一、経絡の位置・・・逆や捕りなど最も良く効く線を作り、経絡や急所を攻める。

二、柔法の間合・・・線を作るのに有効な間合で、掛け手や捌き手は胸元で掛ける。

三、柔法の角度・・・効果的な線や、崩し・倒しの方向へ向かって掛ける。

四、柔法の速度・・・技を掛ける時は、流れるように最後まで止まらずに行う。

五、柔法の虚実・・・当身・牽制を当てて肉体・精神に虚を作り、技を掛ける。

【対話の五要素】

一、要点の位置・・・伝えたいことや聞きたいことの、要点をしっかりと捉える。

二、立場の間合・・・相手との立場に応じた、適切な言葉遣いと態度で話す。

三、観点の角度・・・違う観点からも物事をみたり、例を挙げて理解を深める。

四、会話の速度・・・不快な間を作らず、聞き取りやすい速さで話す。

五、会話の虚実・・・相手が聞く姿勢の時に話し、話す姿勢の時には聞く。

当身の五要素だからといって、痛める・制圧するばかりではない。心地良くさせることもできるのである。
中国には「医武同源」という言葉があるが、これは医術と武術の根本は同じであり、身体・経絡に精通していて、角度を変えれば武術にも医術にもなるという表裏一体の考え方である。角度を変えることで、効果を変えることも知らなければいけない。
拳禅一如・心身一如の修業を行っている我等は、対話などにも五要素を活かせるよう精神面も合わせて精進していこう。

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