Ⅰ.基本

熊手突

数年前の全国大会用の演武練習中に、お師さんから演武を添削して頂いた時に、いろいろとダメだしを頂きました。
その中の一つに、「熊手突」がありました。
演武中では相方が行なうようになってましたが、私もやってみると・・・やっぱりダメだしを喰らいました。
一番大切なところに、意識が足りていなかったようです。

それは、四指をしっかりと『締める(曲げる)』ということでした。
熊手なのに、四指が締まっていないと掌底ですからね(汗)

私達が留意していたことは主に「角度」で、三日月から反対側の天辺(四合よりさらに上方)に向かって突くこと。
その際に、腕が曲がっていないといけないこと。そのために、間合を適切に詰めておくことでした。

しかし、その「角度」で突くために最も大切なことが四指をしっかりと『締める(曲げる)』ことだったんですね。
「角度」を一番気をつけていたはずなのに、意識が足りてませんでした。
まったく恥ずかしい限りです。。。

四指を締めることを意識して試してみると・・・
肘が浮きにくくなり、肘が曲がったまま突き上げることがしやすくなりました。
しかも、四指を締めていないと指で顔を撫でるような突き方になってしまうようです。
それに、喰らう側では威力も恐さも違いました。

この他の留意点は、「インパクトの瞬間」に四指をしっかりと締めること。
この効用は二つある。
一つは、初めから四指を締めておくと前腕に強い緊張が走り速度が遅くなり、さらに冴えもなくなる。だから、初めはフワッと握り(開き?)インパクトの瞬間に締めることで、速度と引き(冴え)が出てくるということ。
もう一つは、四指を締める瞬間に手首が生きて母指丘・小指丘が飛び出るようになり、最後の押し込みが増すことである。効かすための深さが出てくるということ。

説明を頂きながら熊手突を頂戴した時は、ステキな世界へいざなってもらうところでした。
いやぁ、軽くだったのに脳ミソがどこかへ飛んでいくかと思いました。
その後は「脳活」を行ないながら、練習をしたことは言うまでもないです。。。

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運歩

以前の『レの字(逆丁字)立ち』の中でも多少書いたが、改めて「運歩」について綴ろう。

前に進む時に前足から動き、後ろに下がる時は後ろ足から動くのは普通である。
しかし、行きたい方向の足から動かし、地に着いてから反対の足を動かしているようでは、二動作になってしまう。
これでは丹田や頭の高さが上下してしまい、動きを読まれやすい。
しかも、そのような動きでは反対足が残ったり、引きずるような動きになりやすい。
行きたい方の膝を抜き(抜重)ながら、反対の足で丹田を押し出すように行なえば、一挙動で運足できるので足を引きずることもない。
また、丹田から移動することを意識すれば、体軸が安定してくる。
前後左右のどの方向へでも、丹田を地面と平行移動させた方が良い。
跳ぶのではなく、スケートを滑るように意識する。
丹田が動けば、勝手に行きたい方の腰や膝も動くので、足から動く必要はない。
しっかりと「丹田から」という意識を持つことが大切なのだ。
間合を詰めよう、外そうと意識し過ぎるあまり、頭から移動していまいがちである。
これは、目線の間合では大きく移動したような錯覚に陥るだけで、実は身体は大して移動できていない。
しかも、体軸も崩れてしまい、続けて運歩をすることができない。
何歩でも続けて、前後左右に移動できるような立ち方と運足ができなければいけない。

「丹田」は物理的に存在しないものなので位置の認識は難しいが、後ろ側にあると思うと良い。
ヘソより四指下がったところとして良く聞かれるが、これだけでは前方や中央に思われるだろう。
そうではなく、もっと奥にあると思った方が良い。
仙骨の前にくっ付いているくらいに意識した方が良いようだ。

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鉤足

人間は2本足か4本足か?それとも3本足かw

人間は、他の動物と同じく4本足である。
人間の足は、他の動物との形に違いがある。しかし、これこそが人間の歩行を助けている。
足の形だけでなく骨盤や股関節の形も歩行を補っている要因であるが、それを受け止める構造が足にある。それは、「土踏まず」である。この「土踏まず」を隔てて、前足底側を「前足」、踵側を「後ろ足」と分類することができるのだ。
人間の足は1脚に2足あるということになる。2脚あるから、4本足ということになるワケだ。

4本足の動物には「踵」と分類されるものがあるが、人間で言う「膝」のような働きのもので「踵」を着いての歩行はしない。だから、「土踏まず」はない。
猿の脚や足は人間のものと似ているが、決定的な違いは拇指の位置だろう。
4本足の動物もそうであるが、拇指が後ろの方にある。
猿科の動物は、足が「掌」のような形をしている。やはり「土踏まず」を認識できないように思う。
動物は足裏(肉球)をベッタリ着けた状態(拇指以外)で歩く。
人間で言えば「爪先立ち」で歩いているようなものだろう。
他の動物は方向を変える時に、胸椎や腰椎といった背骨を湾曲させることで、前足を後ろ足の向きと違えて曲がる。
車の前輪と後輪と同じといえるだろう。
人間はというと、股関節で足の向きを変えて曲がっていく。
骨盤と股関節が発達したから可能な脚の動きである。「土踏まず」で「前足」と「後ろ足」を分けることで、その動きを受け止められる。所謂「2足歩行」と言われる人間の歩行を可能にしている。
その2足歩行は、前進なら「後ろ足(踵)」から「前足(前足底)」と着いて歩く。後退なら「前足(前足底)」から「後ろ足(踵)」と着いて歩く。

少林寺拳法が運歩を大事にしているのには、捌きに重きを置いているからだ。
前進でも後退でも転回足でも前足底から着くことで「鉤足」を使い、捌きを活用している。

「技」とは「手偏に支える」と書く。要するに、「手を支える。補助する。」という意味だ。
では、何で補助するのか?手を支えるのだから、手とは別なものだと分かる。
そう。「手と別のもの」。つまり、「捌き」なのだ。その「体捌き」や「足捌き」の命である「鉤足」。
ほとんどの動きに通じる「鉤足」。外鉤足と内鉤足を上手に使うことができれば、さまざまな運歩ができる。
これができれば、少林寺拳法の技法の大半ができたことになるのではないかとさえ思える。
しっかりと意識していこうと思う。

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呼吸法

呼吸法とは「息を整え心身を同時に鍛錬し、気力と体力を最も効果的に活用する方法」である。

長時間の場合は下腹部に結手印を結び、短時間の場合は胸前で独鈷印を結んで、体を垂直にして丹田に気を入れ、軽く目を閉じながら、鼻呼吸を原則とし、「宇宙の精気我体
中に入る」と思念しながら充分に息を吸気し、少し漏気し、息を止めて気を満たす充気を行った後に「ダーマの徳性、我に発する」と思念しながら七分呼気し、三分残気して吸気に戻ることの繰り返しであると、教範初版で説明されている。

この「体を垂直にして」というのが、腹式呼吸でないと上手くできない。
腹式呼吸ができていないと、肩が上下したり、中心軸が前後にブレてしまう。これでは動きも悪くなるし、呼吸も浅くなる。「息」は「生き」である。しかし、体術を行う者としては「活き」にまで高めなければいけない。
つまり、「心・気・力」の一致を生むために呼吸法は大切なのだ。

呼吸の仕方は、「吸気→漏気→充気→呼気→残気」のサイクルを繰り返す。
「吸気」は、鼻からゆっくりと充分に吸い込む。
「漏気」は、鼻からフムと漏れる。
「充気」は、吸い込んだ空気を丹田に溜める。
「呼気」は、口から細く長く吐く。または、吐気という。
「残気」は、全てを吐いてしまわずに、若干残す。
この際、「充気」が一番大切で、体中に気がしっかりと行き渡るイメージをしながら行う。
呼吸法を始める時は、まず軽く吐けば、楽に始められる。

腹式呼吸ができているかチェックする方法は、仰向けに寝て呼吸をしてみると良い。
正しく腹式呼吸ができている場合は、1分間に数cm程度だが頭の方向に進んでいく。
ちょうど、イモムシが歩くようなイメージである。

「呼気」と「吐気」を使い分ける場合があるが、使い分けは次のようになる。
「呼気」の場合は鎮魂行など静禅の時で、「自己を呼応させる」「自己を呼び起こす」という意味を持ち、「吐気」の場合は易筋行など動禅の時で、地に立って大気大地に氣を返すという意味を持つからである。

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八方目

級拳士用の科目表の一番最初(3級科目の第1週)に「目配り」とある。
何故、最も最初に習うのか?
たしか剣道界の言葉だったと思うが、古来より「一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)」という言葉がある。
これは、修行の大事な要素を重要度に応じて示したものである。
どんなに優れた技術をもっていても、動静を察知する「眼力」がないと使うことはできない。
その眼力を養うことが最も重要なので、少林寺拳法でも初めに「目付け」として「八方目」を初めに教わるのだ。
初期の頃は「見る」ので精一杯だろうが、最終的には「観る」にまで発展させたい。
目で追うのには限界があるし惑わされるから、気配を感じ取れるように意識することが大切である。

【八方目】

「八方目」とは、視界全体を同時に把握することである。
視界の端にいくほど、大きさや色や形など実体を完璧に把握することは難しい。
だが、それを把握する必要はない。
どこか一点を見つめれば、焦点はそこに合う。そうすれば、周りはボヤけてしまう。
一点を見つめるのではなく、視界全体にある全ての存在を認識する程度にボンヤリと見るのが良い。
これは、相手に焦点を見抜かせないという利点もある。
実践をするのであれば相手の人数や位置関係、足場や障害物といったものを把握できれば良い。
相手への「目付け」をどこにするのかは人に拠って様々だろうが、仏骨あたりを見るのが良いだろう。
対峙している相手だけで考えれば、下は膝までが見えていれば良いのだから・・・。
膝までで良い理由は、「重心の移動(*1)」と「重心の移転(*2)」のどちらも共通する最下部が膝だからだ。
相手の眼をみることで恐怖を感じるのであればなおさら、眼から視点を外すことが居着かないコツでもある。

八方目の鍛錬法にはいろいろあるだろうが、私が学んだものを2つ記します。

一つ目は、周りを数秒間見渡して記憶する方法。
どこに人がいたか、何色の服を着ていたか、どこにどんなものがあったか等を記憶して、瞬時に視界全体の人や物を認識する鍛錬法。

二つ目は、二人一組で両手を広げて向かい合って立ち、鏡の動きをする方法。
動く人と真似する人を決めて、動く人は手先・足先を動かす。真似をする人は、鏡の動きをする。
まずは一足一拳の間合から始め、手が触れる程度の間合でも行えるようにする。

*1・・・運足により、重心を移すことを「重心の移動」と言う。
*2・・・前屈立や後屈立などで、重心を移す方法を「重心の移転」と言う。

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レの字(逆丁字)立ち

何故、少林寺拳法では「レの字立ち」をするのか?
それは、少林寺拳法が護身の技術だからに外ならない!
前後とも前向きにした場合とレの字にした場合で、運歩を行ってみると質の差を感じることができるだろう。
剣道などのように両の爪先を前に向けるのは、速い前進突などに向いている。
が、その反面、横の捌きには弱いのである。
一歩しか転足しないならそんなに影響はないかもしれないが、前後左右に連続で転足する時、その差は歴然である。
少林寺拳法は護身術であり、守主攻従という特徴を持っている。
だから、まず護ることを考えなければならない。
その上で、反撃ができる体勢づくりが必要なのだ。
そういうことを考えた時、前後左右に自由に動けなければならない。
レの字立ちこそが、護身術ならではの少林寺拳法に最も適した「守主攻従=守即攻」を実践できる足位法なのである。
また、運足の仕方は、スケートをするように行うと良い。
跳ぶのではなく、滑るように意識する。行きたい方向の足は膝を抜き、反対の足で動くのだ。
そうすれば、重心の上下がなくなるので、前後左右へ連続で運足できる。
前進の時の後ろ足や、後退の時の前足などが残ることもない。
常に肩幅で「レの字立ち」になれるのだ。

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白蓮中段構

少林寺拳法の体構えには、白蓮八陣・義和九陣の合わせて17の構えがある。
その中で、最初に習うのは白蓮八陣の中の白蓮中段構(別名:開足中段構、正面中段構)であるが、この白蓮中段から始まる法形はない。
普通は左前か右前になり、前後の動きに弱い白蓮中段に構えることはない。
では何故、白蓮中段を最初に習うのか?
それは、基本の体の動かし方を覚えるために、バランスが取りやすい安定した形になるためだ。
初心者が左前や右前から突き蹴りをしても、バランスが悪くまともに行えないだろう。
突き蹴りどころか、振り子(振身)すら出来ないだろう。
やはり少林寺拳法は護身術であるから、攻撃の中にも護りを考えなくてはいけない。
だから、開足で左右に足を広げて構え、バランスをとり易くして振り子を覚えるである。
そして、振り子等の体の使い方を覚えてから、左前や右前に変えていく。
この白蓮中段構になる時の注意点は、爪先は正面を向けるのではなく、やや外向きにすることである。その上で、膝を絞るのだ。
そうすることで、左右への振り子が早く大きく、そして安定感がでてくるのだ。
この白蓮中段構えから、左に45度向けば左前中段構に、右に45度向けば右前中段構になる。
向きたいほうの足だけを外側に開けば、自然とレの字立ちになれるのだ。

さらに、この状態から「前屈立ち」「後屈立ち」「猫足立ち」「伏虎立ち」と立ち方を変え、手を作れば、全ての体
構えにつながる。

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結手構

拳法を修行するものが、むやみやたらと手を出してはいけない。
戒めのために手を結んで抑えようと、結手印を結ぶようになったのだ。
ホンとは、右手が下でも、左手が下でも構わなかったのだ。
だが、統制が取れてないと団体として恥ずかしいから、統一させるために決められた。
日本人を含めた東洋人には、右利きが多い。子供の頃に、矯正させられた人もいるでしょう。
それで、右手を下にした結び方で統一されたのだ。
他には、左手が上になるように重ねるのには、利き手で反撃するために反対の手で受けやすくするためという「守主攻従」の意味も含まれているのだ。
結手印の形は、神道などで使われる叉手に似ていて、金剛禅門信徒にもしっくりくるでしょう。
この結手印の結び方は、左の拇指を挟むようにして太陰肺系の経絡を押さえ呼吸を深め、手首は軽く活かして軽く肘を張り、内手刀を丹田に引き付けるようにして、気を引き締める効果を出す。
そして、両の拇指は指の腹と腹を合わせて緩まないようにする。
しかも、結手は構えであるから、脇を締めて膝を軽く曲げ「くの字立ち」になる。
しかし、すぐに動けないような、また長時間できないような、ムリな重心の落とし方ではいけない。
膝を曲げるというより、膝が曲がるという感覚である。
前足底から指の間で地面を掴むようにし、骨盤を立て、その上に腰椎・胸椎・頚椎・頭骨を真っ直ぐに乗せ、肩の力は抜いて、顎を引く。
胸骨を引き上げ、肩甲骨は開き、鎖骨を緩め、八方目をして、意識を丹田に置いて構えると、隙のない構えになる。

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